戻る

アルバムチャート評

KISS FAQ IIIにビルボードのアルバムチャートの表が出ていたのでそれを折れ線グラフにしてみました。


KISSからUNMASKEDまで

 当時のキッス人気の推移が見事に現れています。特に76年暮れから77年暮れまでの一年間は特に顕著です。新譜がリリースされるたびにそれに連動して旧譜も売れて複数のアルバムがランクインし,多くのファンを獲得した時期だったということがよくわかります。

 ファーストアルバムKISS(GOLD16週,最高位87)は,最初の数週間は低迷していますが,Dick Clarkのテレビ番組でライブが放送(74/3/29)されたあとから順位は上がっていったようです。次のHOTTER THAN HELL(GOLD15週,最高位100)はあっけない成績に。カサブランカレコードが潰れそうになるわけです。
 そして
DRESSED TO KILL(GOLD29週,最高位32)。このアルバムでいわゆる「デトロイトで火がついた」ということですね。これまでの2枚に比べてランクも大きく上げました。
 そしてそして
ALIVE!(4xPLATINUM110週,最高位9)。このアルバムでもってキッスは人気バンドの仲間入りを果たすわけですが,ロック史に残る名盤特集などで必ずエントリーされるのがわかるように長期間にわたって200位以内に君臨しています。
 
DESTROYER(3xPLATINUM78週,最高位11)ALIVE!で一躍人気バンドになってからリリースされた最初のアルバムです。ALIVE!の次に息の長いアルバムで人気のあるアルバムということがわかります。初期の3枚とカップリングしてリリースされたTHE ORIGINALS(17週,最高位36)の発売された時に一度200位から脱落していますが7週間後(76/10/2)に再びチャートインしています。ROCK AND ROLL OVER(2xPLATINUM46週,最高位11)がリリースされた頃から人気も鰻登りという感じでこれに連動する形で旧譜のチャートが一斉に踊っています。そして予約だけで100万枚を突破したというLOVE GUN(3xPLATINUM26週,最高位4)ALIVE II(4xPLATINUM110週,最高位9)の頃には人気の成長も飽和したようです。
 キッスは
784月から活動休止期間に入るわけですがその間にDOUBLE PLUTINUM(PLATINUM24週,最高位22)とソロアルバムがリリースされました。ソロアルバムは4人とも仲良く同じような形でランクインしています。4人のなかでもっとも順位が高かったのはGENE SIMMONS(PLATINUM22週,最高位22)ですが,生きが長いのはACE FREHLEY(PLATINUM23週,最高位26)です。あのアルバムは力が入っていましたからね。ちなみにPAUL STANLEY(PLATINUM18週,最高位40)PETER CRISS(PLATINUM20週,最高位43)よりも早くランク落ちしました。
 2年間の活動停止後にリリースされた
DYNASTY(3xPLATINUM25週,最高位9)は,ALIVE IIと同じような曲線を描き,多くのキッスファンがこのアルバムに期待していたことが伺えますが,次のUNMASKED(GOLD14週,最高位35)ではそろそろその人気にも翳りがみられるようになります。

 

MUSIC FROM THE ELDERからHOT IN THE SHADE

 キッスの歴史上一番低迷していた時期と第2期黄金時代のチャートです。キッス人気を象徴するかのようにきれいに放物線を描いています。

MUSIC FROM THE ELDER(11週,最高位75)は見事にキッス人気の低迷を物語っています。次にリリースされたCREATURES OF THE NIGHT(GOLD19週,最高位45)はそれまでのポップ路線から一転してヘビー路線に戻ったのですがエースのごたごたなどがありELDER同様あまりスムーズなツアーが行われなかった事が原因でいまいちの伸び悩み。そしてメイクを落とす決断をするのであった
その話題性からかノーメイク初アルバムLICK IT UP(PLATINUM27週,最高位24)は初登場29位でチャートインしています。そして第2期黄金時代への扉を開けたANIMALIZE(PLATINUM37週,最高位19)ASYLUM(PLATINUM29週,最高位20)CRAZY NIGHTS(PLATINUM34週,最高位18)はいずれも同じようなチャートアクションで第2期黄金時代が確かにあったことがよくわかります。次にリリースされたSMASHES THRASHES & HITS(2xPLATINUM27週,最高位21)は新曲2曲を含んだベストアルバムですが,ベストアルバムにしては信じられないくらい売れています。これは第2期黄金時代からファンになった人が多いということか。まさかエリックカーのBethのためにということはないでしょう。そしてそのエリックカー最後のアルバムとなるHOT IN THE SHADE(GOLD36週,最高位29)ではそれまでの勢いにちょっと翳りが見えています。このチャートには2つの山がありますが2つめの山はシングル「FOREVER」は全米で大ヒット(5)に連動したものと思われます。

 

REVENGEからPSYCHO CIRCUS

 見て下さいこのどれも同じようなチャートアクション。いずれも初登場順位はこれまでの時代の中でも高順位を示していますが,それ以降はじりじりまたは急激に落下しています。これは固定ファンしかアルバムを買っていないという証でしょうか?

REVENGE(GOLD23週,最高位6)は,それまでの売れ線ハードロックから一転してヘビーなアルバムになり初登場6位を記録しましたが,精力的なツアーをやったわけでも無くこのような成績に終わったのでしょうか。それにつづくALIVE III(GOLD12週,最高位9)も初登場9位とALIVE!ALIVE IIに並ぶ大ヒット間違い無しと思いきや直ぐに落ちました。この頃キッス解散説が出たのも頷けます。そして久しぶりにオリジナルメンバーが集まり話題になったMTV UNPLUGGED(GOLD10週,最高位15)も初登場こそ元気が良かったですが。。。

この後キッスはオリジナルメンバーでリユニオンツアーを始めるわけですが,その記念にリリースしたYOU WANTED THE BEST...(GOLD11週,最高位17)GREATEST KISS(4週,最高位77),そして最後のノーメイクメンバーで録音しながらリリースされず結局ブート対策としてリリースされたCARNIVAL OF SOULS(4週,最高位27)に続いて
名義上UNMASKED以来となるオリジナルメンバーでのPSYCHO CIRCUS(GOLD14週,最高位3)がリリースされキッス史上最高となる初登場順位に期待しましたがその後は落ちる一方で悲しい。
やはりアルバムのチャートアクションはライブ活動などに連動するようです。

さて次のアルバムはどうなるでしょう。